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海のクローバー

読書感想文や、咲-Saki-を中心に「ものを読んで思うこと」少しずつ綴りたいと思います。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 
今一度原作をきちんと読み直そう企画。

6巻を改めて読んだ感想を。

今巻もすばらな内容ばかりなので、
個人的に気になる「10のキーフレーズ」でまとめてみます!



<以下、ネタバレです>
















◆概要◆

夏休みが終わり新学期。
いまだ雪ノ下への疑問が消えないまま、奉仕部の雰囲気は悪かった。

そんな中、八幡は文化祭実行委員をやらされることに。
そこには以外にも雪ノ下も。

文化祭が終わるまで部活は中止と決めたところに
文化祭実行委員長となった相模南が委員長の補佐を雪ノ下に依頼。

相模に振り回される実行委員会を、一人でカバーしていく雪ノ下。
その負担は日を追うごとに増していき・・・。

そんな雪ノ下に嫉妬し、自分の居場所のなさを痛感する相模は
最終的には仕事から逃げ出してしまう。

ここでも八幡は彼らしく卑屈に最低に陰湿に自己犠牲的に解決する。

空気の悪くなった奉仕部が文化祭を通してまた元の平穏を取り戻し、
雪ノ下にも少し変化が見えた、そんなお話。



◆雑感◆
一言で言うなら、指折りの名作、超面白い!
前半戦の締めくくりとして、本当に魅力的なお話になっています!

まず印象的だったのは、文化祭実行委員長:相模南。
人目や評価を気にし、周りに合わせ、主体性のない普通の女子。
本当にどこにでもいるような、そんなリアリティのある登場人物
というところがとてもいい。

八幡目線の描写だと、本当に無能でダメな奴という書かれ方になるけど、
相模みたいな子って、けっこういると思う。
周りを気にするあまり、個性を失い、自分も信念もない。
p.67のプロフィール欄も象徴的だと思う。

周りの評価ではなく自分の信念で動ける八幡とは対極にある人物を描くことで
八幡をより分かることができるのだろう。
まぁ、でも、本当にダメダメだね、相模は。それに尽きる。

他にも・・・
◆雪ノ下が追いかけ続けた、姉:陽乃へのコンプレックス脱却
◆心を開き始める雪ノ下と、それを支えた由比ヶ浜
◆ヒール役として際立ってきた八幡

あたりが見どころでしょうか。
基本的には雪ノ下が主役な印象を受けるお話でした。







さてさて、この6巻を「キーフレーズ」で振り返り。


【1】「・・・私個人でやることだから。あなたたちにが気にすることではないでしょう」/雪ノ下雪乃

文化祭が終わるまで部活は中止にすると決めたところに、
実行委員長の補佐をしてほしいという相模の依頼を一人で受ける雪ノ下。

相模のやり方にも雪ノ下のやり方にも納得できない由比ヶ浜

奉仕部のぎきしゃくした感じがありありと伝わってくる。
一人でしょい込んでやろうとするだけでなく、皆と距離を取ろうとしているのね。

あと、由比ヶ浜は今後の巻での問題の解決法を常々訴えているのがよくわかる。
思っていることを話すこと、困った時に相談し協力すること、
これが由比ヶ浜が求めた「関係」の根幹なんだろうと。


【2】「だって、部活には居づらくなってるだろうし、姉の私が昔、実行委員長をやっていたんだもん。あの子がやろうと思う理由には充分よ」/雪ノ下陽乃

雪ノ下が文化祭実行委員をやるのは以外ではない、と言う陽乃さん。
何でもお見通しのような、確実に含みのある言い方をする。

ここで改めて雪ノ下姉妹の関係の複雑さを思う八幡。
かつて実行委員長を務めた姉の影を追う妹。
優秀な姉と、負けず劣らずだが未だ勝てない妹。

陽乃は雪ノ下のために敢えて「越えられない壁」でいる。
そしてその壁を超えようと苦悩する妹をどこか嘲笑う・・・。
私には、彼女の真意は先を読んでもきちんと理解できていません。

少なくとも、この巻でも、雪ノ下のために敢えて壁を設けているのは明白。
クラスに顔を出し作業を遅らせる相模の提案を後押ししたり。


【3】「今すぐは、難しいけれど。きっといつか、あなたを頼るわ。だから、ありがとう・・・」/雪ノ下雪乃

委員長相模の職務放棄と、委員会の作業スピードを落とす方針により
一人で仕事を抱え込み、体調を崩す雪ノ下。

そんな雪ノ下をお見舞いに来た八幡と由比ヶ浜
ゆきのんの部屋すげー。

今のやり方は、今までの雪ノ下のやり方ではないという八幡。
雪ノ下が代行して仕事をすれば、「エサの取り方を教え自立を促す」
ということになならない、といいたいのかな。

誰かではなく、自分と八幡を頼って、という由比ヶ浜
近づこう、心を開こうとする一歩になりましたね。
雪ノ下と由比ヶ浜の関係はここが大きなターニングポイントになったようで。

あと、この「いつか」が文化祭中に来るとは少し意外だった。はえー。


【4】「・・・なら、もう一度問い直すしかないわね」/雪ノ下雪乃

文化祭のスローガン決めにて、八幡は会議を翻弄させ、
ヒールとなることで実行委員会のある種結束を図ることに成功した。

多くの実行委員や城廻会長からも批判を浴びるが、
雪ノ下はそれが「誤解」とわかっている。

「誤解は解けない」
解はもう出ているのだから、それでもう決着がついているのだと。

はっとさせられましたね。
自分の暮らしの中でも誤解はままある。全部が解けない誤解ではないけれど、
解こうとすればするほど、どつぼにはまることも多い。

ここでの会話は、表面上はスローガン決めのことだが、
メタ的には入学式の日の事故のことなのは間違いないでしょう。
この6巻自体がそうである。

そしてこの「問い直すしかない」は今後の巻でも重要なキーですね。


【5】「違うよ。待たないで、・・・こっちから行くの」/由比ヶ浜結衣

文化祭の空き時間、クラス前で会話する八幡と由比ヶ浜
由比ヶ浜は、話そう、近づこうとする雪ノ下を待つことにしたと告げる。
由比ヶ浜らしくていい。

待っててもどうしようもない人は待たない、と。
もちろん八幡のことでしょう。
ハニトーデートの約束ができてしまうなど、フラグ立ちまくりですね。

今後いくつかの場面で「踏み込む」という表現が出てきます。
それは主に雪ノ下関係の話なんだけど、
八幡はまだ、踏み込まれることを恐れているように思います。

とりあえずここで約束したデートは八幡もちゃんと遂行しようという意思はあるので
いつになるのか楽しみです。やっぱり最終巻なのかなぁ・・・。


【6】「私は、姉さんが今までやってきたことなら大抵のことはできるのよ」/雪ノ下雪乃

エンディングセレモニー直前、いなくなった相模を探す時間を稼ぐため
陽乃さんを巻き込みバンド演奏をすることを提案する雪ノ下。
提示した楽曲をできるのかと、勝気に問うてくる陽乃に対しての一言。

優秀な姉と、負けず劣らずだが未だ勝てない妹。
陽乃さんの影を追いかけ続け、コンプレックスを抱える雪ノ下。
そのために陰ながら努力をし続けてきた、ということがよく表れていますね。

八幡も言ってるけど、陰で相当練習したんだろうなぁ。
その姿を想像すると、ちょっとかわいい。

ここでの雪ノ下姉妹の掛け合いは見ていて楽しい。
やっぱり陽乃さんには勝ててないですねー。


【7】「俺は、安易な変化を、妥協の末の割り切りを、成長だなんて呼びたくない」/比企谷八幡

エンディングセレモニーに出させるため相模を捜し出す八幡。
これはセリフではないけど、この6巻の核心をつくフレーズの一つだと思う。

「自身の成長のため」として委員長に立候補した相模。
周りを気にし同調し、自分のない相模にとって、この文化祭での成長とは
肩書きによる存在感の確認と自己承認欲だと分析する八幡。

見つけてほしくて隠れる、とか誰しも似たような経験があるのでは。
所謂、好きな子へのスカートめくり的な、あえて逆の行動をするアレです。

誰にも認められず頼りにされない今の状況を変える、
そんな安易な変化は「成長」なんかじゃない。

この6巻では、没個性で自分のない相模と
自分に芯を持ち何にも染まらない八幡の対比が鮮明に描かれていると思います。

八幡の核心にあるのは「過去の自分を否定しない」こと。

今までの自分を否定して、簡単な変化をつけて、それを成長なんて言わない。
それを証明しないと、自分の核心が否定されてしまう。
だからこそ八幡は、その安易な成長を求めた相模(の考え)を許せないのでしょう。

とにかく、葉山を巻き込んで相模を説得する、あの屋上でのシーンは
ダークヒーローというか、ヒール役としての八幡の凄さを感じました。


【8】「・・・どうして、そんなやり方しかできないんだ」/葉山隼人

エンディングセレモニーにに出させるため相模を捜し出した八幡、葉山ら。
八幡のヒールに徹した説得に巻き込まれてしまった葉山。

八幡のとった手法が、自分をヒールにする解決方法だと理解した。
葉山は誰も誰も傷付かないやり方でしか解決を望まない。

それでも相模が一層傷つかないために八幡の策に乗るしかなかった。
一応八幡もある程度こうやって葉山が出てくることは予想していたはずだし。

葉山は直接的には八幡のやり方を否定するように言っているけど、
自分自身に対しても言っているように感じる。10巻読むとなおさら。


【9】「君が傷つくの見て、痛ましく思う人間もいることにそろそろ気づくべきだ、君は」/平塚静

八幡の自己犠牲的な方法で相模をエンディングセレモニーに出席させるが、
その悪評はすぐに拡散する。
本来の悪は相模であったはずが、八幡にすり替わって認識されている。

平塚先生はそんな八幡を優しく諭す。
やっぱええ先生やわぁ。

平塚先生は八幡の行動を評価している。
だが、それが自己犠牲的であることを好ましく思っていない。

今回も直接的な非難・指導ではなく、考えろと言わんばかりに諭している。
八幡自身はこれを自己犠牲とは認めないし思ってないんだろうけど、
八幡を知る人達からすると見ていられない。

他人を気にしないことが相模との違いでもあったわけだが、
既に八幡には、この彼の行動を見て哀しむ人がいるということか。


【10】「・・・嘘ではないわ。だって、あなたのことなんて知らなかったもの」
    「・・・でも、今はあなたを知っている」/雪ノ下雪乃

今回のハイライトというべきセリフ。

文化祭が終わり、奉仕部でそれぞれの作業をする八幡と雪ノ下。
直接言葉にはしないものの、入学式の事故の件を初めて話す2人。

「知ってることを知らないとと嘘をついてもいい」とする八幡に対して、
雪ノ下もらしい表現で譲らない。

恐らく直接的な表現としては・・・

事故の後、被害者が八幡という人だとは認識したが、どんな人だかはしならなかった。
でも今は、八幡という人間がどんな人かを知っている

ということでしょう。

嘘をついてましたなどとは言わず、雪ノ下らしく自分を貫いた。
これで5巻から続いた2人のギクシャクした感じは一区切り。

これで分かり合える2人がすごいなと純粋に思う。
後に「言葉にしなきゃわからないか」という議論が起こるが、
この掛け合いを見るに、核心に触れなくても分かり合えることもあるのだと。


◆その他、わかったこと&思ったこと◆

(1)「ちょっといいかな?」って言われた時のちょっとで終わらなさは異常

(2)雪ノ下の家はビジネスホテルみたいな感じ

(3)雪ノ下の「・・・また明日」がすごくかわいい

(4)集団をもっとも団結させる存在は「明確な敵の存在」

(5)完成された円陣を外から見るのは案外悪いものではない

(6)文化祭のスローガンが浸透しすぎ



とってもすばらなお話でした。

やはりエンディングセレモニーをばっくれた相模を呼び戻すための
屋上での八幡はかなりよかったですね。

ヒールに徹する八幡のダークヒーローぶりには感服です。

相模の残念さは言うまでもないですが、八幡の対極的な存在として
非常に重要な存在に思えます。

いずれにせよ、今回の主役は雪ノ下という印象がやはり強い。
若干成長というか、変化もありました。
5巻からのモヤモヤがとれたのも大きいですよね。

前半のラスト、アニメ第1期の基本的な終わりということで、
キレイにまとまった、という感じですね。

やっぱり、ほのぼのと仲良く部室で過ごす3人を見れるのは
いいものだなぁ、と思いました。