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海のクローバー

読書感想文や、咲-Saki-を中心に「ものを読んで思うこと」少しずつ綴りたいと思います。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。8巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 
今一度原作をきちんと読み直そう企画。

ってことで8巻を改めて読んだ感想を。

今巻もすばらな内容ばかりなので、
個人的に気になる「10のキーフレーズ」でまとめてみます!


<以下、ネタバレです>










◆概要◆
7巻(修学旅行)での一件での気まずい雰囲気を引きずる八幡たち奉仕部。

一色いろはから「生徒会選挙にノーダメージで落選したい」という依頼が舞い込む。

互いのやり方に賛同できない奉仕部の面々は、別々の方法で依頼を遂行することに・・・

「奉仕部がなくなる」ことを恐れた八幡は、小町の助力もあり一色を翻意させることで乗り切るが、

結局守れたものは「奉仕部という“形”や“空間”」だけ。果たしてこれで良かったのだろうか・・・


◆雑感◆
とにかく重苦しい!でもそこがいい!そんな巻でした。

大切なものを守ろうとした結果、守ったつもりの大切なものを失ってしまうみたいな苦悩

青春というか、人生ってそーゆーものだよなって思わされる結末でした。

八幡はこの時点では気づけませんでしたが、9巻につながる、彼らに欠落している教訓が

由比ヶ浜や小町によって提示されている感じですかね。



さてさて、この8巻を「キーフレーズ」で振り返り。


【1】「君のやり方では、本当に助けたい誰かに出会ったとき、助けることができないよ」/平塚静

八幡と雪ノ下が別々のやり方で依頼に対することが決まったあとの平塚先生と八幡の2人の会話。

八幡がこれまで救ってきた人は少なくない、と評価しながらも、その方法に注文も忘れない。

苦言を呈するというより、あとは自分で考えろと言わんばかりに伝えるあたり、いい教師だなぁ。

最終的に八幡のやり方では本当に助けたい人たちを助けられなかったので、
ある種フラグみたいな要素ともいえるのかもね


【2】「そんなうわべだけのものに意味なんてないと言ったのはあなただったはずよ…」/雪ノ下雪乃

7巻の最後での雪ノ下の憤りの理由が多少窺い知れるかもしれない重要フレーズかも。

八幡としては修学旅行の件も今回の件も「いつもと同じ」で解決とはいえないが乗り越えるのに十分な、
自分の選べる手札の中では最良のカードを切る行動。

でも雪ノ下は、「八幡が貫こうとしてきたものとは違う」ことに気付いていて、咎めたはずで、
今回もまたそんな方法を取ろうとしていることに賛同できないのだと。

八幡の自己犠牲的な方法に納得できない、という要素もあると思うけど、
それ以上に、雪ノ下は「逃げ」という選択を肯定できないんだと思う。

本質を解決しないで解消で事なきを得ること自体を否定はしていないけれど、
本質から目を逸らし、消極的な理由で解消を目指すこと(=回避)を雪ノ下は否定しているのかな。


【3】「君は理性の化け物だね」/雪ノ下陽乃

陽乃さんに付けれた八幡のふたつ名。「自意識の化け物」とも。

個人的にはどうしてこの電話の中で陽乃さんがこの言葉を発したのかあまり分からないけど、
八幡を的確に表した表現だと思いますね。

理性とは感情と対になるもので、理性に支配され感情を見ることに思い至れない。

理詰めで考え、最良のカードを切ってきたのに、修学旅行も今回の生徒会選も、何か違った。
その理由を理解できなかったのもは、まさにこれ。

八幡が自分を客観的に見る時に今後も使われるキーワードですね。


【4】「あなたは、何もやらなくていいんだもの。いつも誰かがやってくれるんだもんね?」/雪ノ下陽乃

何を考えているのか、その真意を垣間見る隙さえ見せない陽乃さんから発せられる
雪ノ下への挑発。

追いかけてくる妹がいるからこそ、越えられない壁であろうとより完璧な姉を演じている
ように私には見えます。

雪ノ下姉妹の関係性は10巻以降で明らかになりそうだけど、未だに謎。

少なくとも陽乃は、2人より怖い母親の期待を負い、それを完璧にこなしてみせてきた。
雪ノ下ではできないのか、やらないのか、いつも陽乃がしてきたのだろう。

ここでいう「誰か」は凡そ陽乃を指すだろうけど、八幡も含んでいると雪ノ下には聞こえたのかも。

結果的にこの発言を1つの引き金に雪ノ下は生徒会長への出馬を固めるのですね。
全て陽乃さんの思惑通りなのだろうか…?


【5】「もう、やめないか。自分を犠牲にするのは」/葉山隼人

八幡と葉山の間に絶望的な隔たりを確認した場面。

八幡は今までの自分の行動を否定しないために常に自分にできる最良の手を打ってきた。
それは傍から見れば犠牲かもしれないが、八幡の中ではそうではないのだ。

言葉だけ捉えれば、平塚先生が「君が傷つくことを見て痛ましく思う人間…」と同じなのにね。

読んでるこちらにも、葉山の行動は理解も納得も共感もできなかった。

葉山って、八幡との比較のためのキャラという位置づけでしかないのかな…?


【6】「…あたし、この部活、好きなの」/由比ヶ浜結衣

雪ノ下が生徒会長に立候補することは、奉仕部がなくなることを意味する。
それを回避するために、奉仕部を守るために自分が出るのだと。

理屈からいえば滅茶苦茶な話ですよね。
雪ノ下で両立ができないなら、当然由比ヶ浜も両立できないのだから。

でも、自分の気持ちに正直で、正解が分からなくても、きちんと前に進もうとする由比ヶ浜は素敵。

八幡も雪ノ下も思っているのに素直に言葉や行動で伝えられなかった、
「この奉仕部が好き」「奉仕部を守りたい」ということ。

それが唯一できたのは由比ヶ浜。もし3人でいる場でこれを言えていたら…


【7】「小町のために、小町の友達のために、なんとかなんないかな」/比企谷小町

修学旅行から今回の選挙に至るまでの顛末を小町に相談というか話した八幡。

誰にも相談することなく、自分だけの世界で全てに立ち向かってきた八幡にとって
この相談は非常に大きな一歩ですね。

誰しも何か行動するときには理由が必要だけど、大事なことであればあるほど、
その理由に自信がないものだよなぁ…って私も思う。
それは八幡にとっても、雪ノ下にとっても。

背中を押してもらう一言っていいですね。
次の9巻では、ここで小町に理由をもらったことは間違いだというんだけど…。

小町も八幡のことを分かってこのセリフを言ったと思うと、なんかいいね。


【8】「お兄ちゃん、ちゃんと雪乃さんと結衣さんと話してね?約束だよ?」/比企谷小町

材木座たちとの作戦会議にてずっと浮かない顔の小町が最後に残した言葉であり、
この8巻での過ちの理由、みそ。読み手にだけ見えたタネ明かし。

八幡はこの作戦で一色を翻意させ、それを以って雪ノ下と由比ヶ浜の立候補を諦めさせる交渉を
するつもりで、その意味で「話す」と。

でも小町は「説明」や「報告」という意味での話すではなく、「相談」という意味での話すを指している。

まだ八幡は自分の世界で独り立ち向かうことしか見えていないんですね。
2人の立候補への抑止力という意味では、相談だけでは足りないので、理屈として間違ってないけど。

いつか由比ヶ浜が言った「みんな勝手だ」ということですかね。

もし八幡がこの作戦を相談として話せていたら…選択肢を選び直せていたら…
でもこの時の八幡はそんな選択肢を持てていないから、選び直すということはないんですね。


【9】「わかるものだとばかり、思っていたのね」/雪ノ下雪乃

この8巻のハイライト、そして色々な憶測を呼ぶ言葉。

「誰」が「何」をわかると雪ノ下は思っていたのか?

素直に読めば、「八幡が雪ノ下が生徒会長になりたい(なってもいい)ということを分かってくれる」
と雪ノ下が思っていたのに、ということだろうか。それだけ?

ただ、雪ノ下は奉仕部という形でなくても3人の関係性は続いていけると思っているはず。
ソースは、直前に由比ヶ浜の「ゆきのんがいなくなったら、なくなっちゃう…」を否定したこと。

だから、その本心に気付いてくれると期待したのと同時に、奉仕部という形でなくても、
この3人の関係性は変わらないと思ってこその立候補だということを分かってもらいたかったのかな。

むしろ、それを踏まえての、何でも分かってしまう八幡なら、この3人なら
「言葉にしなくても分かり合える・通じ合える」と期待していた自分に失望した、ということじゃないかと。

さらに言えば、八幡も由比ヶ浜も「奉仕部という形」を守ろうとしたのであり、
自分と同じくこの関係性を守る(信じる)ことがより重要だ、それが本物だ
と2人も分かるとばかり思っていたのに…ってことかな。

んー、難しいですね。答え合わせは10巻以降に示唆されると思うので期待しよう。。。


【10】「ほんと言うとね、期待してたんだ」/城廻めぐり

「ほんと言うとね…」~「そういうの、ちょっと憧れてた」のめぐり先輩の描いた理想の未来。

仮定の話をすればこれが理想で、答えだったのでしょう。
でもあくまで仮定の話で、やり直しもきかず、叶わぬ未来でしかないのだけれど。

きっと雪ノ下も同じような未来を夢見たのだろう、という意味で「わかるものとばかり…」の答えかも。

最後にこんなセリフ出してくるんだもん、めぐりんズルい。

これでめぐり先輩の出番も減っちゃうのかな、いいキャラなのにな。



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結局長々と書いてしまいました。


誰も傷を負わない手段が必要だと理解し始め、

そのために誰かの力を借りたり、相談したりすることが必要だと理解し始め、

1段登ったと思ったら、大きな間違いに辿り着いていたことを知る。

なんか儚く、もどかしい、でもそれがいい。そんなお話でした。

次の9巻に向けてのヒント・教訓となることがたくさん見えた回でした。


渡先生、こんなすばらお話をありがとうございました。