やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。9巻感想
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 アニメ2期決定
ということで、今一度原作をきちんと読み直そうと
最新刊から逆に読み直し始めました。
ってことで読んだ感想を。
すばらな内容ばかりなので、つらつら書くと長ーくなりすぎそうなので
個人的に気になる「10のキーフレーズ」でまとめてみます!
<以下、ネタバレです>
【1】「だから、前みたいにちょっと頑張ってもいいかなって、思う、んだけど…」/由比ヶ浜結衣
「そう。なら、それでもいいと思うわ」/雪ノ下雪乃
今回の依頼人は、8巻で1年生ながら生徒会長に就任した一色いろは。
生徒会の初仕事を手伝ってほしいと奉仕部へ相談に。
八幡いうところの「欺瞞」な関係を保っている奉仕部
依頼を受けて対応していく中で解消できるかも、と考える由比ヶ浜に対して
依頼を受けるか否か初めて八幡たちに委ねようとする雪ノ下。
このシーンは雪ノ下のセリフがほぼないことがポイントですかね。
この無言のギクシャク感、ちょっと見てられない。
雪ノ下に苦い思いをさせないために、これ以上奉仕部を劣化させないために、と
結局、依頼は八幡1人で引き受けることに。
【2】「もう、無理してこなくてもいいわ…」/雪ノ下雪乃
一色の件を一人で手伝っていること、八幡がそれを隠し嘘をつき部活を早退していることへの
雪ノ下と八幡の会話の一幕。嘘をついてまで無理して部活に来なくていいと告げる雪ノ下。
八幡視点では、これまでずっと否定してきた欺瞞・虚偽を平然と使う自分への嫌悪というモノローグ。
雪ノ下と自分が唯一共有していたであろう「うわべだけのものに意味を見出さない」という信念を
今も自分は持っているか…。
一方、雪ノ下視点では、これまでも一人で解決(解消)してきた八幡と自分との対比というか、
八幡を認めつつ、自分の求める自分への不満足みたいのがあるのかなって。
【3】この場合、なぜ傷つけたくないかこそを考えるべきなんだ。そして、その答えはすぐに出る
―――大切なものだから、傷つけたくない」/平塚静
平塚先生と八幡の夜のドライブ。からのヒントタイム。
どの言葉をとチョイスをする方が難しいし、このシーンの平塚先生はかっこよすぎる。
八幡がわかろうとしなかったものの正体に気付く
――― 感情。
理性の化け物であるが故に認識・理解できずにいた「感情」というファクター。
誰かを大切思うこと…それはずっとぼっちで、あまり経験してこなかった、むしろ避けてきたこと。
大切に思うからこそ、その人を傷つけたくない。そこに思い至る必要性を初めて認識できたというか、
それを自ら動機づけようと思えることになったのが大きいのかな。
8巻では小町が理由を与えてくれて、そこを後押ししてくれた。
小町がどうのではないんだけれど、そこが平塚先生との違い。
平塚先生は本当によくみてくれていて、示唆してくれて、こんな先生に巡り合いたいなぁ。
【4】「考えてもがき苦しみ、あがいて悩め。―――そうでなくては、本物じゃない」/平塚静
ヒントタイムのシーンの最後の方のセリフ。
本当は平塚先生のヒントタイムは1つにまとめたかったけど、キーワードとして拾っておきたい。
――― 本物
この言葉が示すことが何かは言葉にするのも難しそうだし、八幡自身もよくわかってはない
でも今後の八幡自身や奉仕部にとっても目指す姿を示す言葉として大事なワードになりそう。
その意味で初めて出てきたのは平塚先生の口からだったんですね。
【5】「俺は、本物が欲しい」/比企谷八幡
9巻のハイライト、八幡の「告白」シーン。
俺ガイル全体を通してもベスト3には入る名言、ターニングポイントとなるワードでしょうね。
惹き込まれるし、熱いものがこみあげてくる。。。
これまでの自分のやり方の間違いを認め、1から問い直し、1から積み上げ直そうとする八幡。
言葉に頼らず、相手を知りたい・理解したいという自己満足を互いに許容し合う関係性。
今まではそれに気付けても、手に入らないから存在しないものと考えてきた八幡が
家族以外で初めて迷惑とか考えずに自分のわがままを言えたってことでしょうか。
これまで相手を「知る」ということに目を向けてこなかった八幡。
それがこれまでの折本の件を含め黒歴史を作ってきたし、
修学旅行も生徒会選挙も千葉村の件もそれが底辺にあったのかなって。
全部知る・理解するなんて普通に考えても無理だし、そーゆーのに経験値のない八幡ならなおさら。
それでも、手に入らないかもしれないけど欲しいと求め、その醜態をさらし、階段を1段上っていく
この青春劇は間違っていないよなぁ…てすごく思った。
【6】「いつか、私を助けてね」/雪ノ下雪乃
雪ノ下が苦手なアトラクションに乗り、初めて八幡に本心からの願いを口にするシーン。
次の巻からは、この雪ノ下の願いを八幡たちが叶えるか支えるかしていく展開になりそうですね。
早くアニメ化して、白亜城を背景にこのセリフをゆきのんを見たい。
そして、苦手だけど頑張って八幡と一緒に乗ろうとする感じが出てていいですねぇ。
特に描写はないんだけど、八幡の「告白」があったからこそ、雪ノ下もこの言葉を口にできたのかな。
【7】「私にできることが何もないって気づいてしまったから、あなたも姉さんも持っていないものが欲しくなった。…それがあれば、私は救えると思ったから」/雪ノ下雪乃
苦手アトラクションを2人で乗り終え休んでいる会話の一幕。
私は救える…という表現がやはり気になりますね。
八幡も「何をだ?」と問いますが、雪ノ下は「さぁ、何かしら」とはぐらかします。
この答えが今後の物語のキーになりそうですね。
雪ノ下は姉:陽乃に憧れつつも、同じにはなれず、そんな自分に失望し、
違う形で同じかそれ以上になりたいと思っている、その憧れはある種八幡にも向けている
そしてそれを成し遂げて自分を呪縛から解放する…みたいなのを見ているのかなと。
【8】「…わたしも、本物が欲しくなったんです」/一色いろは
今日ディスティニーランドで葉山へ告白した理由を問われた一色のこのセリフ。
先日の八幡の「告白」を扉越しに聞いていた一色も、私たち読者と同じく熱くなったんですね。
思うに、八幡に影響を受けるて行動に移す、ってキャラはこれまでいなかったような
これが葉山の言う「君はすごいな、そうやって周りの人間を変えていく」なんでしょう。
この先いつか八幡が自分を本当の意味で認める時が来るならば、
この一色の一言は大きな財産であるかもしれないなぁ…なんて。
【9】「比企谷、ちょっと変わったよね。昔とか超つまんないとか思ってたもん」/折本かおり
八幡・雪ノ下の活躍もあり、難航した会議が結論をみた、その帰り道の折本と八幡の会話。
八幡にとって折本は過去のトラウマの象徴みたいなものであり、それを葉山らに簡単に話す嫌な存在
でも、この時の短い会話は、その過去やあのWデートのマイナスを補って余りある会話だったかな。
思うに、折本は八幡の成長や変化をみる物差しの一つとして、必要な、いいキャラですね。
【10】「まだ、依頼は終わっていないでしょう」/雪ノ下雪乃
無事にクリスマス合同イベントを終え、部室で久々のティータイムを過ごす奉仕部。
3人のカップが並ぶあの挿絵と、久々のこのひと時、とってもいい!
にしても、まだ終わってないってどーゆーことでしょうかね??
あの「告白」シーンからするに、「本物がほしい」でしょうか。
ここから3人が本物を目指していくという新章突入ということですね。
ここでの雪ノ下の微笑みが、今後への期待感を感じさせますね。
結局長々書いちゃいました。
7巻以来のモヤモヤ感が吹き飛ぶ、キレイな終わり方でした。
奉仕部3人の関係がやっと前に進み始めた、そんなターニングポイントとなるお話。
特に八幡と雪ノ下は成長というか、新しい領域に足を踏み入れることができた感じですかね。
苦手なアトラクションの後の雪ノ下の買い物は、ディズニーに行かない私にはわかりませんでしたが、
他の感想投稿を拝見して理解できました。いつか挿絵で見れるといいなぁ。
あと、会議を終えた後の一色に怒られる八幡・雪ノ下のやりとり、久々に見れてよかった。
あとがき的にはあと3巻くらいでしょうか?今後の展開が気になります。
今後は雪ノ下が姉:陽乃との関係や自らの呪縛とどう向き合っていくのか
陽乃・葉山をキーマンに話が進んでいきそうな。
でもでも、個人的には・・・
①平塚先生の依頼である「比企谷の孤独体質の更生」は完了していない
→八幡の依頼である「本物が欲しい」の達成で同時クリア??
②勝った方が何でも命令できる権利の行方とその内容
→八幡が勝利し、雪ノ下に「俺と友達になって欲しい」を再々チャレンジ??
あたりが気になるところ。
「俺と友達に…」のくだりはまた出てくるでしょうね。
もしくは「友達」以上の「本物の関係」(別に恋人とかではなく)を手にし、その必要はもうないか
みたいな展開かなぁ…なんて妄想が捗りますね。
次の10巻が楽しみ。
すばらな9巻を、どうもありがとうございました。